CASE STUDY / 56
湯沢学園 様
寒冷地ならではの空調事情
周辺環境を活かした自然派空調で実現するエコスクール
町で唯一の学校に整った
15年一貫教育ならではの貴重な環境
繊細な情景描写が美しい川端康成の名作『雪国』。あまりにも有名な書き出しから始まるその小説は、ここ湯沢町を舞台に描かれました。四季折々の美しい自然をもつ湯沢町に2014年4月、「人を想い、我を磨く」を教育目標に掲げる湯沢学園様が開校しました。
「小学校と中学校、合計9学年の縦割り活動が特徴的です」と話してくださったのは湯沢小学校長の中沢様。小中一貫校の強みを活かした縦割り活動の中には、いじめをテーマに話し合う時間もあるそう。学年の垣根なく日常的に交流ができる貴重な環境です。「9年生(中学3年生)が小学1年生の子の手を引きながら階段を上る姿を見ると嬉しくなります」と湯沢中学校長の角谷様も目を細めます。町内で唯一の公立小中学校には、一貫教育の強みを存分に活かしながら「人を想い、我を磨く」ための環境が整っています。2016年には認定こども園も開園し、全国的にも珍しい0歳から15歳までの15年一貫教育がスタートしました。
室外機が設置できない厳しい環境で
河川水を活用する水冷HP式空調
数多くのスキー場があり、特別豪雪地帯にも指定されている湯沢町。「底冷え」という言葉でも表現しきれないほどの、雪国ならではの厳しい寒さ。家庭の暖房には薪ストーブや石油ストーブが使用されることが通常だそうで、一般的な空冷HP式空調が使いづらい環境です。
しかしながら、魚沼産コシヒカリの産地としても有名な湯沢町は雪解け水が豊富。この環境を存分に活かした空調手法として、湯沢学園様の近傍を流れる河川(農業用)から水を汲み上げる水冷HP式空調が採用されました。さらに自然採光や自然通風の他、太陽光発電など、自然の力を活用した建築計画で、周辺環境を活かしたエコスクールになりました。
湯沢町の子どもたちみんなが帰って来られる場所は
外気処理で叶える過ごしやすい空間
冷温水コイルと直膨コイルを搭載
水冷HP式空調機のハイエンドモデル
採用いただいた水冷HP式ハイブリッド外調機BWHP型は、冷温水コイルと直膨コイルを搭載した二刀流。平常時は冷温水コイルのみを稼働させ、ピーク時には直膨コイルも稼働させます。負荷に応じて必要な分だけエネルギーを使えるので、年間を通じて省エネに貢献。熱交換に利用された河川水は、再び下流に戻されます。
冬期は河川水も氷点下近くまで冷たくなることから、BWHP型はボイラの温水供給に切り替え、エアハンドリングユニットとして使用されています。角谷様は「冬期は外調機のみの運転で十分暖かいので、教室に併設されているPACは使用しないことがほとんどです」と話します。湯沢学園様の建設時から携わり、現在もメンテナンスを担当されているつどい総業の髙橋様からは「水冷HP式は複雑なシステムながら、建設から10年が経っても目立ったトラブルはありません」との声をいただきました。