CASE STUDY / 70
大阪市高速電気軌道株式会社 様
天井クレーンに干渉せず、動線も確保できる
作業の邪魔にならない工場用ゾーン空調機
『安全はすべてに優先する』との強い決意で
大都市・大阪のインフラを支えるOsaka Metro
安全はすべてに優先する。その強い決意で大阪の交通インフラを支えているのが、大阪市高速電気軌道株式会社様。大阪市交通局の民営化に伴い、「Osaka Metro」の愛称で2018年4月に新たなスタートを切りました。
国土交通省が定める鉄道車両の全般検査や重要部検査など、大掛かりな検査を担うのが同社の緑木車両工場。ここでは保有する1434両(2025年7月14日現在)のうち大半の検査を担っています。御堂筋線や四つ橋線のほか、大阪・関西万博の開催に伴い延伸した中央線など、サードレール方式を採用する路線の車両が入場します。
「入場してくるのは、さっきまで不具合なく安全に走っていた電車です」と話すのは検査係長の硲様。1日平均で約250万人もの人を輸送する同社では、たったひとつの故障が多くの人に影響を与えます。電車を故障させないための、予防保全が何より重要だと言います。
鉄道車両工場の集約をきっかけに進めた
定期検査場の作業動線を邪魔しない暑さ対策
民営化前の2 016 年、森之宮車両工場が統合されることになり、緑木車両工場に入場する車両数の大幅な増加が見込まれていました。それに伴い、作業通路の幅を狭くして対応することを検討。設備課の岡本様は「暑熱対策としてこれまで通り多くのスポットクーラーを床に並べると、作業動線の邪魔になってしまう恐れがありました」と話します。とは言え、緑木車両工場には天井クレーンが設置されているため単一ダクト方式の採用も困難です。同社内で検討を重ねられ、天井クレーンを避けて設置でき、到達距離の長いパワフル爽風を供給する工場用ゾーン空調機を採用いただきました。
北検修棟に採用されたのは10台のCRV-HP型。広大な棟内のうち、多くの作業者が集まる定期検査場に集中的に配置されました。壁掛形の空調機で、通路幅が狭くなった中でも作業動線をしっかり確保できています。
見学に来た同業他社からも「すごいですね」と声が挙がる
鉄道車両工場のカタチに合わせた暑熱対策
ゾーン空調に加えてスポット空調も
夏の暑さを克服するOsaka Metroの工夫
定期検査場は、最大12両もの車両を同時に整備することができる広大なエリア。ここでは車体と台車が分離され、制動装置などの主要機器をはじめ、車両の細部まで整備が行われます。もちろん、車両に乗り込んでの作業も発生します。作業が長時間に及ぶと夏期の車両内はかなりの高温に。作業者の集中力を維持するためにも、外部から冷気を送り込む必要があります。同社ではCRV-HP型の一部の結露防止パンカーにフレキシブルダクトを取り付け、作業通路だけでなく車両内にもパワフル爽風を供給しています。