CASE STUDY / 65

神戸須磨シーワールド 様

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シャチのパフォーマンスは西日本唯一
生きものを守るための強靭な設備

1987年の開館以来、「スマスイ」の愛称で親しまれてきた神戸市立須磨海浜水族園。2023年5月、施設の老朽化により、惜しまれながらもその歴史に幕を下ろしました。2024年6月、その跡地にグランドオープンしたのが神戸須磨シーワールド。コンセプトは「学び(Education)」と「遊び(Entertainment)」を融合した“「つながる」エデュテインメント水族館”。最新技術を導入した参加型教育プログラムや次世代型展示を展開しています。
西日本で唯一(2024年現在)シャチのパフォーマンスを楽しむことができるオルカスタディアムの他、イルカの生態を間近で観察できるドルフィンスタディアム、生きものたちの多様な行動が観察できるアクアライブなど見どころは盛りだくさん。

パフォーマンスの合間に水槽内をゆったり泳ぐシャチ

パフォーマンスの合間に水槽内をゆったり泳ぐシャチ

神戸市立須磨海浜水族園時代には阪神・淡路大震災で被災し、停電により多くの生きものが犠牲になった過去も。その経験から、強靭な中圧Aガス導管からガス供給を受け非常用電源を確保するなど、もしもの際に生きものを守る工夫も施されています。

飼育に使われる多くの水とエネルギー
省エネを目指して構築された熱源水ネットワーク

水族館の運営には、生きものの飼育に多くの水とエネルギーを要します。設計を担当した竹中工務店の原瀬様は、最大限の節水・省エネルギー化を図るべく検討を重ねられました。着目したのは、生きものによって冷温の要求が季節ごとに異なる点。例えば、イルカの飼育水槽は夏期に冷却、冬期に加熱が必要ですが、シャチの飼育水槽では冬期ピーク時以外は常に冷却が必要です。そこで、各棟を中温水で結ぶ熱源水ネットワークを構築。放熱ロスの低減とともに、ネットワーク内の熱を融通し、省エネルギー化に貢献します。
一般的に水族館は上部が開放された水槽が多く、展示室内の湿度が高くなります。特に顕熱負荷の低い梅雨時期には結露が発生することも。原瀬様は結露防止のために「外調機による過冷却除湿が必要」だと考え、ホットガス再熱を搭載しており熱源水ネットワークに接続もできる水冷HP式外調機を採用いただきました。

機械室内に設置され塩害対策にも有効な水冷HP式外調機

機械室内に設置され塩害対策にも有効な水冷HP式外調機

生きものを快適にするための水槽熱源と
人の快適をつなぐ水冷HP式外調機

熱源水のカスケード利用で
⊿t15Kの超大温度差システムを実現

外調機として7台導入されたWHP-SP-OA型。飼育水槽の水温調節に利用されるターボ冷凍機や水冷スクリューチラーの冷却水をカスケード利用しています。生きものによって異なる適切な水温を保ちつつ、空調で人の快適性も高める使い方は水冷HP式ならでは。さらにWHP-SP-OA型は水熱源ビル用マルチエアコンと並列に接続され、システム全体の熱源水温度差は最大15℃となる超大温度差送水。高い省エネ性を実現しています。

空調時の体感も上々の様子。施設課の平川様は「お客様からも職員からも、空調に対する不満の声がありません」と話します。ピーク時はもちろん、顕熱負荷が小さい梅雨時期においても問題はなかったそう。取材当時の12月でも職員の間で「暖かい」と好評だったバックヤードには、展示エリアに供給された空気がカスケード利用されています。
「水冷HP式は冷温水式とは異なり、手間をかけずに運用できるのが嬉しいです」と話してくださった平川様。2管式冷暖フリー運転の実現は、水冷HP式外調機のメリットのひとつ。熱源水ネットワークには自動制御も組み込まれ、空調も水槽の温度管理も平川様が「こんなに放っておいても良いのか不安になる」ほど。この言葉には設計を担当した原瀬様もホッとした表情です。

さらにクラゲやイルカなど、生きものの種類によって最適な水質が異なるため、飼育水もカスケード利用されています。魚類水槽の排水を、海獣系水槽の補給水に利用するなど、水の使用量を大幅に削減。熱源水、空気、そして飼育水までもがカスケード利用され、最大限の節水・省エネルギー化が図られています。

生きものとふれあい、楽しみながら学ぶこと
海の世界と、そして未来とつながる

水族館での仕事が「子どもの頃からの憧れ」だったと語るのは施設支配人の馬場様。水族館は、生きもののスペシャリストとお客様とをつなぐ場所。「少し過保護かな」と微笑むほど繊細に管理された飼育環境で、お客様に1つでも生きものに関する驚きや発見を持ち帰ってほしいと話します。
大切に飼育されている生きものとふれあえば、きっと感じられるはず。“すべてのいのちは、こんなに大きい”。


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