CASE STUDY / 69
大阪市高速電気軌道株式会社 様
日々の安全運行を守る鉄道車両工場
わずかなズレも許されない状況を、空気で支える
『走り続ける、変わり続ける。』
大都市・大阪のインフラを支えるOsaka Metro
西日本の中心都市・大阪。大阪市交通局の民営化に伴い、2018年4月に誕生したのが大阪市高速電気軌道株式会社様。『走り続ける、変わり続ける。』をスローガンに、新たなスタートを切った同社は「Osaka Metro」の愛称で親しまれています。
国土交通省が定める鉄道車両の全般検査や重要部検査など、大掛かりな検査を担うのが同社の緑木車両工場。ここでは保有する1434両(2025年7月14日現在)のうち大半の検査を担っています。御堂筋線や四つ橋線のほか、大阪・関西万博の開催に伴い延伸した中央線など、サードレール方式を採用する路線の車両が入場します。
工場長の松葉様は「日々多くの作業がありますが、何よりも“安全”を優先しています」と話します。1日平均で約250万人を輸送する同社。緑木車両工場では、車両の故障も、労働災害も起こさないように全員で“気付き力”を高めようと声をかけ合っていると言います。
鉄道車両の安全を支える生命線
1/1000mm単位の車輪はめ替え作業
2015年10月、緑木車両工場内に第2検修棟が新設されました。摩耗して交換が必要になった車輪を車輪着脱装置で新品に交換したり、電車の扉を開閉させる戸閉機の整備作業などがおこなわれます。特に、車輪のはめ替えは1/1000mm単位での切削が必要なほど精密な作業。車軸の外径よりも車輪の内径がわずかに小さくなるように削り、圧入して組み立てます。それは人の体温が伝わっただけでも狂いが生じてしまうほど高精度。数十トンもの車両を支える車輪は安全運行の生命線です。「ここでのわずかなズレが、重大な事故を引き起こすこともあるんです」と松葉様はその重要性を語ります。
その精密な作業工程を、見学に来た子どもたちにもわかりやすく、そして楽しく伝えられるよう、車輪着脱装置をワニに見立てて装飾するなど、工場内には遊び心も盛りだくさん。