CASE STUDY / 21
富山県民会館 様
省スペースに対応した空冷直膨式エアハン
”寒冷地仕様”で低外気温下でも能力を維持
富山県の芸術文化振興の拠点として半世紀
耐震化を中心とする改修で安全・安心、快適に
1964年の開館以来、芸術文化振興の拠点として親しまれてきた富山県民会館。会議室棟とホール棟の2棟からなる建物は、会議室棟の耐震性不足と施設全体の老朽化への対策が必要となり、大規模改修がおこなわれました。耐震化には免震工法が採用されました。地下機械室にある42本の柱にはすべて免震装置を設置し、壁面の水平スリット、外周ドライエリアなどにより500mmの揺れを許容します。
ホール棟は外壁にアルミパネルを施してイメージを一新し、断熱性能の向上を図ります。ホールは座席の幅を拡張し、座り心地を重視しました。事務所棟はエントランスに富山県内の曲げガラス、ロビーに越中和紙を採用するほか、ショップ・レストランでも富山らしさを堪能できます。エスカレーターの新設、トイレの全館改修など利便性・快適性も向上しました。
富山県民会館はより魅力的な複合文化施設に生まれ変わり、日本建築防災協会2015年度耐震改修優秀建築・貢献者表彰「耐震改修優秀建築賞」を受賞、音楽家・舞台技術者が選ぶ「優良ホール100選」にも選ばれています。
既存の設備を活かしながら
よりシンプルな方式で空調システムを構築
改修前の空調はセントラル方式で、熱源機はターボ冷凍機、ガス焚冷温水発生機、重油焚温水発生機が設置されていました。耐震化にあたり機械室には免震設備による柱の拡張と建物の揺れを許容するためのスペースが必要となったため、ホール用熱源機としてガス焚冷温水機のみを残し、空冷直膨式エアハンとパッケージエアコンによる個別分散方式が採用されました。
比較的小さい事務室・会議室には「外調機+エアコン」が導入され、個別の温度設定に対応します。外調機は空冷直膨式と温水を併用した特別仕様で、厳冬期でも安定した温度で建物内に新鮮な外気を送ります。中間期には外調機のみを運転する外気冷房で省エネ効果を図ります。
人が多く集まる宴会場や特別会議室には「外気混合空調機」が導入されています。冷暖フリー運転、温湿度制御が可能で、「寒冷地仕様室外機」を接続し外気温-25℃まで対応するハイパワーな省エネ暖房により空調の安定化を図ります。高い暖房能力は、立ち上がり時間の短縮にも効果的です。
厳冬期に欠かせない確かな暖房性能
寒冷地仕様室外機で室温を安定化
快適な省エネにつながるきめ細やかな運用・保守
改修により安全性と快適性は向上し、利用者数も増えているとのこと。富山県文化振興財団 水戸様にお話を伺いました。「高効率機器の投入と個別空調で冷暖房能力が上がり、暑い寒いがなくなりました。快適になった実感はありますがランニングコストは変わらず、省エネ効果を感じます。」「設備の改修、外調機の導入で空気質が改善され、給排気のバランスもよくなりました。」「空調設備の清掃は以前から日常的におこなっています。空冷直膨式を採用し管理面も楽になりました。」ホール棟では平成7年納入の冷温水エアハンが今でもよい状態で使われており、日頃の保守・管理をしっかりされていることが長寿命化につながっているようです。