CASE STUDY / 67
能瀬精工株式会社 様
製品にも生産設備にも最適な環境づくり
ここまでやるなら、潜顕分離空調システム
世界中から優秀な人材を獲得するために
「この会社で働きたい」を目指した新工場
ニードルローラベアリング。それは、機械の回転を支えるための軸受。一般的なボールベアリングと比べ、小さな直径で大きなラジアル荷重にも耐えられます。言わば、機械の小型化や軽量化に無くてはならない縁の下の力持ち。能瀬精工株式会社様は、このニードルローラベアリングの専門メーカーです。JNSブランドで、世界中のあらゆる機械を支える同社は『より良い製品はより良い人から』を企業理念に、モノづくりを通じて自らが考え行動する人材の育成にも注力されています。
業界の常識を覆し、多彩なラインナップを揃えながらも短納期を実現するなど、世界中に存在する競合他社の中でも異彩を放つ同社。業界の中で圧倒的な地位を確かなものにするためには、優秀な人材の確保が必要です。多くの名門企業が生産拠点を構える工業団地「テクノパーク・なら」から世界に誇れる工場を目指して、奈良第二工場の建設計画がスタートしました。
「たった1日でサビてしまう」ほど繊細な製品
倉庫の除湿には立形ルーフトップ空調機
建設計画時の大きな課題が『製品にも生産設備にも最適な環境づくり』。「空気環境が悪ければ、たった1日でサビてしまう製品なんです」と教えてくださったのは工場長の大杉様。以前の工場は湿度が高く、製品の保管時には防錆加工が必須だったそう。設計を担当された服部建築事務所の久保様は「これだけ天井高があり湿度まで管理する倉庫は聞いたことがありませんでした」と振り返ります。熟考を重ね、ホットガス再熱機能を搭載した立形ルーフトップ空調機RFT-RA型と、大空間空調換気システムを組み合わせて倉庫を設計されました。
さらに生産設備は、周囲の上下温度ムラが品質に影響してしまうほど高精度。生産設備が稼働するエリアには、立形ルーフトップ外調機と工場用ゾーン空調機の『潜顕分離空調システム』が導入されました。久保様から「工場用ゾーン空調機は天吊形や壁掛形が選べて省スペースだから設計しやすいんです」と評価いただきました。
空調運用の開始から1年経っても「サビの発生はありません」
立形ルーフトップ外調機&空調機で最適な環境づくり
工場用ゾーン空調機を分散配置することで
きめ細かい運用を実現
生産エリアには無人で24時間稼働させているロボットや、日中だけ稼働する協働ロボットが混在しているため、常時全館空調ではエネルギーの無駄遣いにつながります。そこで、状況に応じて特定のゾーンだけを空調できるよう、工場用ゾーン空調機CRV2型とCRH2型が分散配置されました。
生産ラインの効率化を推進する東口様は「生産設備の稼働状況や室内環境に応じて、数台の空調機だけを冷房運転してその他を送風運転するなど、きめ細かい運用ができています」と納得の表情。工場用ゾーン空調機の分散配置が、生産エリアの環境づくりと省エネ運用に役立っているとお話しいただきました。
倉庫での製品保管時には、以前は必須だった防錆加工をせず空調のみで1年間運用されていますが「サビの発生はありません」。これには設計を担当された久保様も安心したご様子。マイティリモコンに取り付けたマルチメディアカードの湿度データでも、梅雨時期を含めて相対湿度を一定範囲内に維持できていることが確認されました。
さらに同社では全拠点の設備をネットワーク化し、生産状況や室内環境の“見える化”を実現しています。当社の空調システムからはBACnetゲートウェイを通じて稼働状況が中央監視システムへ伝えられます。スピード感を持ったチューニングを実現するため、中央監視システムはすべて自社開発したのだそう。奈良第二工場では現在、手動で空調設備を運用中ですが、将来的に自動制御に組み込むことも検討されています。
『より良い製品はより良い人から』
自動化と無人化の先にある熱い心
全拠点の設備をネットワーク化し、最大限の自動化と無人化を実現するスマートファクトリー。IoTを活用して集積した膨大なデータを、日々分析しながらさらなる生産効率の向上に役立てています。デジタル――。それは決して機械的でドライなものではなく、本気で改善に向き合う人たちの生きたコミュニケーションツール。こうして“より良い製品はより良い人から”生まれています。