CASE STUDY / 67
佐藤工業株式会社 様
創業160年の老舗が挑む、高い快適性と省エネ性の両立
みずを活用した、近未来のウェルネスオフィス
キーワードは「建設品質。」
地域、社会に貢献する総合建設会社
2022年に創業160年を迎えた佐藤工業株式会社様。建設プロセス全ての品質を向上させる意志を表現した「建設品質。」をキーワードに、社会資本の形成に貢献されています。160周年記念事業として「“想”う、“創”る、寄り“添う”」の意味を込めて建設されたのが、技術センターSOU。「ここに技術開発と施工支援の機能を集約し、生産性向上に寄与しています」と教えてくださったのは技術センター長の早川様。土木が専門の早川様は「“快適性”と“省エネ性”は相反するものだと思っていた」そうです。ところが技術センター長に就任後すぐに驚いたと言います。「高い水準で快適と省エネを両立できているんです」。
技術センターSOUはNearly ZEBの認証を取得したほか、室内の快適性なども総合的に評価するCASBEE、CASBEE-ウェルネスオフィスでSランクを取得。外構の緑地には、歴史と伝統を重んじて創業の地・富山由来のパンダ石(黒部川花崗岩)を配置するこだわりも。
Nearly ZEBの認証を取得した技術センターSOU
“地中熱”を活用した持続可能な空調システム
設計値において54%の省エネと24%の創エネで、BEI=0.22を達成した技術センターSOU。太陽を自動追尾する日射遮蔽・遮熱システムや空間環境センサーを用いた照明制御など、様々な省エネ技術が採用されています。中でも特筆すべきは地中熱の活用。クールピット・ウォームピットで外気温度を緩和させているほか、16本のボアホールと3本の採熱杭から採取した地中熱を、地中熱ヒートポンプ(GSHP)や躯体蓄熱放射冷暖房システム(TABS)に利用しています。
用途に合わせ、執務エリアもラウンジも
それぞれのカタチで実現した潜顕分離空調
環境にもやさしい空調システムを実現したのは
みず、地中熱を活用した自然派技術
2~3階の執務エリアに採用されたのは、外気側と還気側に計2つの熱交換器を搭載したエア・コンビCN型。湿度調節した“外気”と、温度調節した“還気”を空調機内で混合してから吹き出す一体形の潜顕分離処理空調機です。混合された外気と還気は、床染み出し空調で室内に給気。執務エリアにまんべんなく必要な酸素量が行き届いているのは、居住域を重点的に空調できる床染み出し空調と、外気と還気を混合して吹き出すエア・コンビの組み合わせならでは。エア・コンビは1台で調温・調湿ができるので、除湿不足によるジメジメ感や過冷却除湿時の冷え過ぎもありません。建築研究部の鈴木様は「除湿運転時でも給気温度の極端な低下は見られません。エア・コンビは、足元から冷えやすい床染み出し空調に特にマッチする空調機だと思います」と評価します。
採用された空調機はすべて大温度差仕様の冷温水式。地中熱ヒートポンプ(GSHP)と空冷HP式チラーの2つの熱源から、冷温水が供給されています。みずのエネルギーを最大限活用した環境にやさしい空調システムが構築されました。
持続可能な社会を未来につなぐため
総合建設会社のプライドが生んだ技術センター
省エネなのは明らかなのに、現在その効果が評価されていない技術――。技術センターSOUではあえて多くの“未評価技術”も採用し、自らの実証実験によって評価できるよう取り組んでいます。早川様は「積み重ねたデータがあるからこそ、お客様への提案時に説得力が増すんです」と語ります。そこにあるのはZEBプランナーとして、そして総合建設会社としてのプライド。豊かな未来を創るため、その目は「建設品質。」のさらなる高みを見つめていました。