CASE STUDY / 22

株式会社鈴廣蒲鉾本店 様

鈴廣ブランドを支える小田原の豊かな地下水
自然と共存し持続可能な地域経済を確立する

鈴廣かまぼこ株式会社様は創業150有余年に及ぶ小田原蒲鉾の老舗です。箱根登山鉄道の風祭駅には「かまぼこの里」が広がり、多くの観光客で賑わいます。蒲鉾づくりには丹沢・箱根山系でろ過された地下水「箱根百年水」が欠かせません。ここでは目新しい蒲鉾のほか、同じ水でつくる芳醇な味わいの箱根ビールや体験型イベントなどを楽しむことができます。
2015年9月には敷地内に新本社ビルが竣工しました。地産地消への取り組みから、内装や家具には地元小田原産のヒノキ間伐材が使われ、暖かな質感を放っています。また、電力だけに頼らず自然エネルギーを活用した省エネシステムを構築し、地下水は省エネにも大きな役割を果たします。
鈴廣かまぼこ副社長鈴木悌介様は、2012年に「エネルギーから経済を考える経営者ネットワーク会議」(現・一般社団法人)を設立し、全国の中小企業経営者と共に再生可能エネルギーの活用や省エネ、地域経済の活性化に尽力されています。エネルギーの地産地消や持続可能な経済活動について本気で向き合うきっかけになったのが、東日本大震災でした。

エネルギーも集中型から分散型へ
契約電力は変わらず環境を改善

小田原市では震災後に計画停電が実施され、夏には15%のピークカット要請がありました。これを機に加速した節電・省エネの取り組みは20%削減を可能にし、省エネだけではなく創エネへの意識改革へとつながります。本社ビルの新築にあたっては豊富な地下水の熱利用など自然エネルギーの活用でZEB化を目指し、経済産業省のZEB実証事業に採択されています。
本社ビルでは外皮の高断熱化、自然光の利用、太陽光発電に加えて、水熱源空調システム、水熱源ヒートポンプ給湯システム等が導入され、BEMSによる一括管理をおこなっています。また、資源を有効に活用するため熱源利用後の排水はクーリングタワー補給水や館内のトイレ、屋根散水、景観用水などに二次利用しています。
2016年度(4-3月期)には同等規模のビルと比較してエネルギー削減率60%超を達成し、再生可能エネルギーの導入やエネルギー使用の効率化が評価され平成27年「かながわ地球環境賞」(かながわスマートエネルギー部門)を受賞されました。

井水熱源のHP式ツインサイクル形外調機
「調湿・除塵・陽圧」で上質空気を供給

自然採光や井水利用など自然エネルギーの有効活用でZEBを構築

本社ビルは発泡ウレタン等による高断熱構造と二重構造のLOW-Eガラスで熱負荷を軽減しており、外気温度2℃の条件下でも朝の立ち上げ運転時の室温は16℃程度を保っています。内装には調湿効果の高い木材がふんだんに使われ、外調機での湿度管理も適切におこなわれるため、夏は28℃設定でもべたつきがなく、冬は22℃設定でもやわらかな暖かさがあるとのお話しでした。
屋根には太陽光発電パネルと光ダクト用の高窓が設置されています。電力は蓄電池に送り、すべて館内で利用します。光ダクトは太陽光を連続して反射させ室内照明として使う採光システムで、電力を使わず十分な照度を得ることができます。2、3階の執務室は大きな窓と光ダクトで自然採光し、設定照度に満たない場合は自動でLED照明が調光します。

執務室には水熱源HP外調機と水熱源室内用HPマルチエアコンを併用しています。外調機は強力な除湿・加湿機能とダブルフィルターによる除塵能力をもち、クリーンな外気を室内に送ります。自然換気をせず外調機で陽圧を保つため花粉や埃の侵入がなく、室内側エアコンはフィルタの汚れがほとんどありません。3階では床吹き出しが採用されており、個別の風量調節に対応しています。

「水冷HP式ツインサイクル形除湿外調機」

地中熱、地下水などの自然エネルギーが利用できるヒートポンプ式外調機です。ツイン構造で2段除湿・加湿機能をもち、凝縮器一体構造で低負荷時の省エネ性に優れます。インバータ搭載、CO₂比例制御にも対応し、BEMS接続で効果的な省エネ運転を目指します。

ZEBが可能にする地域貢献

周辺施設では地中熱換気システム、太陽熱給湯システムのほか、マイクロコージェネレーションシステムが導入されており発電と給湯をおこなっています。施設は災害時の避難所に指定されており、停電時の電力供給に備えるほかLPガスへの切り替えを可能とすることで、より万全な対策をとっています。


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