CASE STUDY / 30

新柏クリニック 様

木の癒し効果に着目し木造建築を採用
心にも作用するような療養環境を実現

新柏クリニック様は、千葉県柏市にある120床の透析専門医院です。駅近くにありながら自然に恵まれた立地で、「森林浴のできるクリニック」をテーマに、からだだけではなく心の健康にもつながる療養環境を目指しました。
木の癒し効果に着目し、建物は耐火集成材「燃エンウッド®」による木造・木質化構造を採用。2・3階の透析室には木製の太い柱梁が連続して並び、単調になりがちな大空間に心地よいリズムと温もりをもたらします。開放性を高めたガラス張りの室内からは、クリニック専用に整備されたリハビリガーデンや周辺の緑地を臨むことができ、外部とのつながりを感じられる空間を創出しています。打放しコンクリートの大きな庇は、ベッドへの直射を遮るとともに外部からの視線を制限し、軒裏に貼られたヒノキ化粧板が内外の連続性と美しい佇まいを演出しています。
植栽は季節の彩となり来訪者を暖かく迎え、夕刻には室内から漏れるやわらかなオレンジ色の灯りが安心感のある景観を創生しています。

天井デザインは機能と視覚的な美しさを両立
空調の気流に配慮しながら設備機器を集約

透析室の梁はベッドの間隔に合わせて設定されています。梁際に間接照明を設けることでまぶしさを低減し、必要に応じて処置灯を用います。梁と梁の間にはベッド直上を避けるかたちで天井設備機器を集約し、患者さんの真上からの吹き出しを回避します。吹出口には放射整流ユニット「環境エアビーム」を採用し、患者さんのからだに直接気流が当たらないよう重ねて配慮しています。
天井は、機能性と併せて、ベッドに横たわる患者さんの視界を意識しデザインされています。各種設備機器には黒の塗装を施し、同じ色合いのゾーンにまとめることで存在感をなくしています。患者さんの視線の先には木目が広がり、黒いラインが梁の連なる空間を引き締めています。
建物は、太陽光発電や廃熱利用システムの導入などを併せた環境性能が評価され、CASBEE柏Sランクを取得。「最善の医療を、最良の環境で提供する」という思いを実現した、今までにない透析クリニックとなっています。

「エアコンの風が当たる」 患者さんの声から空調の気流対策を重視

大掛かりな専用設備は不要
空調機に接続し気流を抑える「エアビーム」を採用

透析治療は週3回、1回当たり4~5時間をベッドの上で過ごします。以前実施した患者さんへのアンケートでは、エアコンからの気流がからだに当たって辛いというご意見があったとのこと。気流対策について輻射式空調を含めて比較検討した結果、空調吹出口として気流を感じにくい「環境エアビーム」を採用し、配置を工夫することで解決しています。

  • 「燃エンウッド®」は中心部の荷重支持部(木)+モルタル+燃え代層(木)の構成により耐火1時間の認定

  • 車寄せを兼ねたヒノキ板貼りのエントランス

  • 1階外来待合スペースでも緑の景色に癒される

  • アートフルな空間が1階送迎待合室から階段へ続く

  • 2階北側は白を基調としたリクライニングチェアエリア

  • 空冷直膨式エアハンで外気の温湿度を整え設備ゾーンから給気


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