CASE STUDY / 58
大阪中之島ビル 様
40年の歴史を持つ都心のオフィスビル
空調改修に最適だったのは熱源一体構造の熱回収外調機
建物の未来を見据えた設備改修
テーマは空調方式の統一と設備の省スペース化
大阪市中央公会堂など歴史的建造物が建ち並ぶ文化的な街並みの中之島。堂島川と土佐堀川に挟まれた、水と緑が豊かな中州を指すこのエリアは日本有数の企業が本拠を置くビジネス街。1984年、この地に大阪中之島ビルは誕生しました。
かつては大手商社の本社としての役割を担っていた大阪中之島ビル。自社ビルからテナントビルへの転換――。そこには、時代に合わせて最適な空調方式を積極的に取り入れてきたがゆえの空調課題がありました。2013年からビル管理業務を行っている東急コミュニティーの福本様は「改修前は1階から15階まで、空冷PACや水冷PACの他、中央熱源方式までもが混在していました」と話します。これまでのビル管理の豊富な実績から、それぞれの空調方式のメンテナンス対応を続けていましたが、設備全体が古くなってきたことから空調改修計画がスタート。空調方式の統一と共に、限られた機器設置スペースを有効に活用する方法が模索されました。
改修で叶えたのは省スペース化だけでなく
「快適性×操作性×省エネ性」すべての向上
設計を担当した大建設計の掛江様は「熱回収外調機は熱源一体構造で屋外の設置スペースの問題がクリアでき、さらに快適性も向上させられると考えました」と採用までの経緯を振り返ります。熱回収外調機は「ホットガス再熱」機能を標準で搭載し、電気ヒーターのように電力を使わずとも除湿再熱が可能に。梅雨時期など、低負荷で湿度が高い時期にもドライで爽やかな新鮮外気を供給します。室内還気の温湿度を計測しながら自動で制御するため、除湿・加湿された外気導入とともに、オーナーの要望だった冷暖自動切り替えも可能になりました。
「充分な能力を持った外調機を採用することで、循環空調機の台数を削減し室外機スペースを小さくできることが採用の決定打でした」と語る掛江様。適切な外気処理は循環空調機の負荷を減らし、省エネ運用や故障時のリスク分散にも有効です。
熱回収外調機が届ける上質空間
年間を通していつでも快適なオフィスビル
冬期の「加湿不足」を解消するために
考えていたのは外気処理の必要性
改修前に挙がっていたもうひとつの課題が加湿不足。冬期の環境測定では室内湿度が30%を下回る日も多くあり、入居者様の要望で業務用加湿器を貸し出すことも。東急コミュニティーの佐々木様は「外気処理時にしっかり加湿するためには、加熱能力の高い外調機が必要だと考えていました」と話します。熱回収外調機は改修前の全熱交換器ユニットと異なり、ヒートポンプサイクルで外気を一次加熱するため加湿効率が良好。さらに、暖められた室内空気の熱エネルギーを回収するので、着霜しにくく冬期も安定した能力を発揮します。